直線上に配置

桧原湖情報

直線上に配置

2005年7月15日(金)〜18日(月)
 15日 天候:くもり時々晴れ   風:西1m
 16日 天候:くもり         風:西北西1m
 17日 天候:くもり時々晴れ   風:西3m
 18日 天候:晴れのちくもり   風:西1m

 表水温:22〜23℃で安定
 水 位:満水時より約80cm減で、平日は放水によって毎日僅かずつ減水中 
      

桧原湖情報TOPへ

 この1週間の釣果は日によって大きくバラつきがあった。
どんなルアーでも反応があるわけではなく、アクションも選んでくるので人によって釣果に差が出ているようだ。
しかしスモールの状態は決して悪くない。むしろコンディションはかなりよい。お腹はパンパンで、ボート上で大量の
フンまでしてくれる。お腹の内容物をティースプーンで掻きだすとワカサギ、エビ、ゴリ等がたくさん出てくる。

 それではなぜ思うように釣れないのか。湖の状況もふまえて私なりの考察を書いてみたい。

 まずはじめに湖の状態であるが、水位は平年に比べて非常に多く、例年では、もう干上がってしまっているような
春先によく釣りをするエリアでまだ十分に釣りが出来る状況である。平日はさかんに発電用の放水(最大で1日に17cm
桧原湖の水位を下げることが可能)を行っているが、梅雨後半の雨量が多かったのか、それとも湧き水が豊富なのか
定かでないが1日で水位が極端に落ちることは無い。
 水質的には、水の色を見る限りではほとんどのエリアで問題ないように見える。実際はそうでもなさそうなのだが
このことについては後で触れることにしよう。
 水温については、6月中旬に20℃を越え、その後順調に上昇して6月26日には24℃台まで達したが、6月28日
を中心に降った大雨によって約20℃まで一気に下降したとともに水位も春先の満水時にせまる勢いで増水した。
その後はゆるやかに21〜23℃の間で上下しながら安定した状態を保っている。
 
 次に、メインのベイトになっているワカサギの動きであるが、現在は水深4m〜10mラインまで分布しており、
場所によっては12mでも確認されている。昨年に比べるとワカサギのボール(群れがかたまっていて魚探に円く映る)
は大きめで、その数も多く、今年はワカサギが豊富であると感じる。
深めのレンジで釣れてくるスモールは昨年から年を越したワカサギを食べているようだが、ミドル・レンジでは今年
かえった体長20mm程度のワカサギも食べているようである。
 先月中旬頃はエビも3mラインを中心に多く魚探で確認できたが現在はほとんど確認できなくなった。

 これらのことはスモールにとってどんな影響があるのか。

 @スモールがなかなかディープに落ちない
   先月は3mラインのエビが豊富だったためにミドル・レンジが好調で、スポーニングを終えてもそのエリアから
  ほとんど動かずエビを捕食する個体が多かった。
   例年だと、”水位の低下”と”水温の上昇”がディープを目指すスモールの動きを後押しする形になるのだが、
  今年は、現在も水位は春先とあまり変わらず、減水による魚へのプレッシャーが少ない。
  水温はスモールにとって適水温であるといっていい22℃(私自身はスモールにとって19℃がベストと考えている) 
  付近で安定している。
  このような状況では、スモールはどの水深でも好きな深さにいられるわけである。

 Aベイトはいつでも食べ放題なのでフィーディング・タイムが短くなる
   水深4m〜10mと、ワイドなレンジにベイトが分布しているため、スモールにとって居心地の良い水深から
  上下に移動しなくても捕食が可能だと思われる。また、ベイトが豊富で、群れでかたまっているために
  容易に捕食できると考えられる。よって常にフィーディングを意識していなくても、食べたいときに食べられる
  のであるため、フィーディングに入っている時間は短時間で済んでしまう。
  複数のスモールが協力してワカサギを追いつめ、効率よく捕食している。水深が8mもあるディープでも水面まで
  ベイトを押し上げ一気に数匹のスモールがライズする光景が湖のいたるところで確認できる。

 Bサスペンド傾向が強い
        a.水位が下がらない
        b.水温が安定している
        c.表水温が半月ほどの間ほとんど変化していないこと

   ベイトの動きの他に、上記a.〜c.の湖の状態がサスペンド傾向を強めていると思われる。
  その中で、《c.表水温が半月ほどの間ほとんど変化していないこと》に着目してみたい。
   実は、このことは非常に重要なことなのである。
   冬から夏にかけての水温の上昇期は、一般的に水面近くが一番水温が高く、深くなるほど冷たくなっていく。
  水温の上昇パターンは天候に大きく左右され、毎年同じではない。
  多くの場合、水温躍層(サーモクライン)が形成される。水温躍層とは、ある水深を境に水温が急激に変化する
  層のことをいい、水温躍層付近に魚の適水温が存在する場合、魚はその水深を好んでサスペンドする傾向が
  強まる。
  6月下旬から7月上旬まではこのことが当てはまり、日に日に深くなっていく水温躍層にあわせるように6m〜
  8mへとスモールのサスペンドする水深も深くなっていった。
   しかし、7月上旬から現在まで表水温の上昇がほとんどみられない状況になると、湖の水はなじみはじめ、
  「水温躍層が深くなる」、「水温躍層の温度差が小さくなる」、「水温躍層が消滅する」といった現象が起こってくる。
  現在、6mより水深の浅いエリアでは水温躍層が消滅し、表層とボトムでの温度差がない状態になって
  しまっている。これはターンオーバーを引き起こす寸前の状態を意味する。こうなると湖底の土砂は不安定な
  しまりの無い状態になって、舞い上がりやすくなる。そこに、冷え込みによる表水温の低下や強風による湖水の
  攪拌が起こればターンオーバーが始まってしまうわけである。
   現時点で、6mより水深の浅いエリアの数ヶ所でターンオーバーが確認できている。ここ数日でサスペンドする
  スモールの水深が1〜2m浅くなったのはこのことが原因なのかもしれない。

   以上のことから、考えてみると
  「お腹いっぱいでサスペンドしてしまっているスモールは、気が向いたときだけ簡単にベイトを捕り、
   常にベイトを追い求めているわけではない。」
  ということになる。さらにベイトを多く食べている魚というのはベイトに目が慣れてしまっているため
  簡単にルアーを見抜いてしまうので、反応のあるルアーは限られてしまうということになる。